「…サーカスの綱渡りの式なものが行われる。これは雨乞いの神事で、雨蛙の縫いぐるみを着込んだ若者が…」
ページを繰る手が止まったのは云うまでもない。カエルの縫いぐるみを着て綱渡り?祭りの名は千葉県野田市の「津久舞」。
さっそく戦闘準備である。
東武野田線野田市駅に降り立つとそこは醤油臭かった…。実はみうらじゅんの「とんまつりJAPAN」でも茨城県龍ヶ崎で行われている撞舞(こっちはこう表記)が紹介されていて、期待は高まるばかり。しかし、駅周辺は醤油くさいばかりで祭りの気配どころか人の気配もない。提灯はぶらさがっているんだけど…。とりあえず、時間もあることだし提灯を辿ってみることにした。
途中、道を尋ねたりしつつもなんとか会場であるキッコーマン本社駐車場に到着。すでにライブ会場には特設ステージのセッティングが完了し、津久柱が空へぬーっと伸びている。早めに到着することができたので観客席の前から2番目を確保。
写真をみればお分かりだと思うが観客席から津久柱まではかなりの距離がある。古い文献に載っていた写真を見る限りでは観客は津久柱の真下でライブを堪能しているし、龍ヶ崎の撞舞もまた然りであっただけにかなり残念だったのは云うまでもない。
いまかいまかと待ちわびること30分、観客が総立ちの中、提灯の行列とともにかえる男の入場である。これはほとんど格闘技の入場に近いのではないだろうか。津久舞とは雨乞い神事の舞であり、蛇を「くつわ」という金具でがんじがらめにしておいて、その側でカエルを舞わせ、カエルを食べられない蛇が怒って、雨雲を呼び雨を降らせようという意味が込められている。つまり、これは蛇とかえるの異種格闘技なのである。
津久柱の高さは約16メートル。かえる男(ちなみにかえる男のことを重次郎と呼ぶ)はこの柱を命綱なしで登っていくのである。この津久舞、かえるの重次郎役が墜落死するという事故があって一旦は中止になるというなかなかデンジャラスな過去を持つも復活し、現在は千葉県の無形文化財として保存されている。
とうとうかえる男が柱を登りだした。しかし、するするっと上まで登るのかと思いきや、これが1歩1歩超慎重。
どうでもいいが、観客席から津久柱までがあまりにも遠すぎるため光学2倍のズームではこの程度が限界。しかも、夜間の撮影のために手ぶれで写真が失敗しまくり。撮影は困難を極めた。
10分程でようやく頂上に到着。重次郎、柱の頂上で余裕をかましてます。このあと数々のアクロバティックな技を披露する。技を披露するごとに観客席からは「おー!」っとどよめきの声が沸きあがる。
重次郎、最高難易度の逆立ちを決める!しかし、この頃には長時間アスファルトに腰掛けていたためにおしりと腰が痛く、上を見続けていたために首が痛い。そろそろ限界である。重次郎、お前の凄さは分かったから早く地上に降りてきてくれよ…。
そんな願いが通じたのか、ロープで技を決めた後そのままロープを伝って地上まで降りてきてフィニッシュ!
この後、入場の時と同じく提灯行列を引き連れて会場を後にするのだが、観客席は全員総立ち、スタンディングオベーションでなかなかかえる男が見えない!ちょっとお前らどけ!!かえる男の写真が撮れないじゃないか!!!
と、心の中で叫ぶも聞こえるわけもなく、必死になってかえる男の後を追いかける!で、ようやく撮影できたのがこの写真。アイドルの追っかけよろしくかえる男を必死になって追っかけていたら、どこかの銀行の駐車場で行列が止まった。ちょっと、ここはどこなんだ?
自分の方向感覚を完全に失い呆然としていたら、この地区のお偉いさんの話が始まりだし、最後は手締めで津久舞の幕を下ろした。しかし、手締めといっても普通の1本締めなどと違い野田締めなる独特の締め方だったりしてなんだか良く分からないまま祭りは終わった。
かえる男、偉いさんにへこへこしてます。この祭り、意外とカメラおやじは少なく印象に残ったのはDVをずっと回していた若い女の子。どういった意図で祭りを撮り続けていたのかかなり疑問なんですけど…。祭りマニア?まあ、人のことはまったく言えたクチではありませんが。いやほんとに。かえる男の真横を取ってひたすら写真をとり続けてるやつなんて傍から見たらかなり危ないね…。
津久舞
会場:西光院の庭・茂木佐公園・キッコーマン醤油本社駐車場(年によって異なる)
交通:東武野田線 野田市駅 徒歩15分
開催日:7月15日前後 上・仲・下町が実施する「3か町夏まつり」の中日に行われる
時間:8:00〜

